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動脈硬化性疾患の予防と治療・・59 <2007.9.7>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬と心血管死亡・・『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』・・心血管死亡低下と治療基準・9

 前回からの続きです。

 『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』の内から、心血管死亡率の低下が得られなかった試験の四件についての日本動脈硬化学会基準から見た、治療開始前の血中総コレステロール値(TCH,mg/dl), LDL−コレステロール値(LDL−C,mg/dl)についての検討です。

 大櫛グループ基準からの検討については、このシリーズ「56」で行いました。

 まず、再度、試験名とその患者背景、そのデータを示しておきます。

 日本動脈硬化学会基準は、既に、このシリーズ「57」で示したとうりです。

 ・ 心血管死亡率低下が得られなかった試験名と対象となった患者データは以下の如くです

試験名      平均年齢  女性% 心筋梗塞既往% 糖尿病%

ALLHAT−LLT  66     49     0         35

ASCOT−LLA  63     19      0         25

PROSPER    75     52     13        11

CARE       59     14     100       14  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・ 治療前後のTCH,及び、LDL−C と心血管死亡抑制%

試験名        TCH          LDL−C       心血管死亡率%

            治療前  治療後  治療前  治療後    

ALLHAT−LLT  224   184    146    105     NS  

ASCOT−LLA   213   163    131    90     NS

PROSPER     220    NA    147    98     NS

CARE        209   167    139    97     NS                                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(NS; Not Significant, NA; Not Available)

 ・ 対象患者の主要冠危険因子の検討

  4試験とも、平均年齢が、危険因子となる、男性≧45歳、女性≧55歳ですから、主要冠危険因子=1と査定されます。

 つまり、4試験とも、まず、リスクカテゴリーが、II;中リスク以上となります

 ・ 試験名・ALLHAT−LLT,ASCOT−LLAでの管理目標値の検討

  糖尿病%は、それぞれで、35%、25%とありますので、危険因子数は、その対象者には、1加わることになりますが、リスクカテゴリーは、2となっても変わらないことになります

 しかし、他の主要冠危険因子、高血圧、喫煙、低HDL−Cの有無については、不明な状況にあります。

 また、心筋梗塞の既往%は、0ですから、LDL−C>100、TCH>180となります。

 つまり、ALLHAT−LLT,ASCOT−LLA試験では、リスクカテゴリーは、II;中リスク群とIII;高リスク群の混合からなる患者対象からなるのです

 LDL−Cは、<140、又は、<120で、>100となります。

 TCHは、<220、又は、<200で、>180となります。

 ALLHAT−LLA試験では、治療開始前のLDL−C=146、TCH=224ですから、治療の必要な患者グループからなると判ります

 治療後のLDL−C=105,TCH=184ですから、治療レベルは、III;高リスクの患者に適する条件となっています。

 II;中リスクの患者にとっては、十分過ぎるまでの治療が行われたともいえます

 ASCOT−LLA試験では、治療開始前のLDL−C=131、TCH=213とありますから、II;中リスクの患者では、治療の必要が無いと判定されます。

 しかし、III;高リスクの患者は、治療が必要なレベルにあると判ります

 治療後のLDL−C=90、TCH=163とありますから、治療レベルは、III;高リスク患者グループレベルのみならず、心筋梗塞の既往のリスク患者も満足する治療が行われたことになります。

 つまり、ASCOT−LLA試験では、解釈によっては、必ずしも治療の必要のない患者が含まれ、治療レベルも、過剰に十分過ぎる治療がおこなわれたことになります

 大櫛グループ基準では、心筋梗塞既往者のあっても、LDL−C>100、TCH>180とありますから、動脈硬化学会基準と、モットも異なり基準となる判断基準となっているところです

 ・ PROSPER試験での管理目標値の検討

  13%の心筋梗塞既往者は、LDL−C<100、TCH<180となります

  糖尿病%は、11で、上述しましたように、残りの主要冠危険因子数は、不明です。

  治療前のLDL−C=147、TCH=220ですから、II;中リスク以上の危険因子グループは、治療対象となります。

 治療後のLDL−C=98、TCHは不明です。

 つまり、13%の心筋梗塞既往者以外の患者には、過剰な治療が行われたとも言えることになります

 ・ CARE試験での脂質管理目標値の検討

   心筋梗塞の既往者=100%の対象患者からなりますから、脂質管理目標値は、LDL−C<100、TCH<180となります。

  治療前のLDL−C=139、TCH=209ですから、治療の必要のある患者ばかりとなります

  治療後のLDL−C=97、TCH=167ですから、日本動脈硬化学会基準に適合する治療が行われたのです。

 しかし、大櫛グループ基準では、LDL−C<100、TCH<180には下げないとありますから、過剰な治療が行われたことになります

 日本動脈硬化学会基準に沿った治療が強力すぎるから、心血管死亡率の減少が得られなかったとも解釈可能と言えます

 試験名・ALLHAT−LLT,ASCOT−LLA,PROSPER,CAREの4試験のいずれにあっても、ほぼ、日本動脈硬化学会の基準には基づく脂質管理目標値には沿った治療が行われたと言えますが、心血管死亡率の低下にはつながらなかったとなります

 心血管死亡率低下が得られるような「患者カテゴリー」と「脂質管理目標値」の再検討と改正が必要と判ります

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール・・スクアレンは血中コレステロールを上げる」を取り上げています)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール・・ステロイドホルモン・・植物イソフラボン・・大豆イソフラボン・ガン」を取り上げています)

 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・25』です)

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