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動脈硬化性疾患の予防と治療・・61 <2007.9.12>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系硬化性疾患と心血管死亡・・心血管死亡を低下させる治療基準・11・まとめ

 「動脈硬化性疾患の予防と治療」シリーズの「44」から「59」にかけて、日本動脈硬化学会編集の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」(協和企画)に取り上げられていますスタチン系薬物を用いた『代表的な大規模臨床成績』(pp.40~43)を検討してきました。

 日本動脈硬化学会基準と大櫛グループ基準から、LDL−コレステロール、及び、総コレステロール値を中心に、スタチン系薬剤治療による「心血管死亡率低下」の有無の視点からの検討を加えてきました

 日本動脈硬化学会基準による「リスク別脂質管理目標値」によるスタチン系薬剤治療として「表11 わが国における代表的な大規模臨床試験」の治療結果として、「心血管死亡率の低下」が認められていないと言えます。

 しかし、大櫛グループ基準から検討すれば、治療の対象とならない患者が沢山含まれているからだとも解釈できるのです。

 そうした視点から、「表10 海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験」、「表13 積極的脂質低下療法を行った代表的な臨床試験」の海外における臨床試験を検討しても、同様の解釈を加えることが出来ます。

 大櫛グループ基準の方に、があるように思えます。

 大櫛グループ基準は、疫学的なデータや臨床成績を基に、男女別にした脂質管理基準が決められているのだと思います。

 しかしながら、始めから計画された大櫛グループ基準に基づく「大規模臨床試験」による積極的な成績が、今だ、出されていない状況にあるのではと思います。

 スタチン系治療薬による大規模臨床試験・JーLIT試験にあっても、大櫛グループ基準に適うといえます。

 取り分け、血中総コレステロール値(TCH、mg/dl)が、<180では、ガン死、脳出血、自殺・事故死、感染症死などの増加によって、死亡率の増加が見られるなど、正当性があるような結果となっています

 日本動脈硬化学会による「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」によるかいていでは、「高脂血症」の病名が「脂質異常症」と改められ、診断基準と言うべき「リスク別脂質管理目標値」からは、TCHが削除されました。

 こうした背景には、心筋梗塞死亡率が、わが国に比して、はるかに高い欧米より低いTCHの設定を行ってきたことへの問題があると思います。

 スタチン系治療薬による治療によって、心血管死亡率の低下が認められない事実は、ガン治療で言えば、制癌剤や外科的治療によって、腫瘍サイズの縮小や除去が行われたとしても、寿命は延びない治療法だとの状況と同様と言えます

 また、学問の進歩による動脈硬化性疾患の発症原因、予防や治療を考える上で、TCHやLDL−コレステロール値の占める意味が低下してきたからともいえます

 動脈硬化性疾患の発症原因を解明、その予防を検討する上で、血管内皮細胞の果たす役割、血管内皮の炎症、損傷、血小板凝集の果たす役割に、その中心が移ってしまったことにあるからです

 今や、内臓脂肪細胞の果たす役割、アディポカイン(アディポサイトカイン)分泌異常などに注目は移っています

 また、同じ、動脈硬化性疾患をタージェットとするメタボリックシンドローム(メタボリック症候群、代謝症候群)に、話題の中心が移ったともいえます

 そうした状況にあって、大櫛グループ基準にある、例え、心筋梗塞などの虚血性心疾患の既往者にあっても、TCH<180、LDL−C<100は、大切な基準だと言えます。

 つまり、心血管死亡率のみならず、前述したようなガン死などをも含めた死亡率の低下のためにも、血中総コレステロール値、LDL−C,HDL−コレステロール値、中性脂肪値については、基準の検討が必要な状況にあるのだといえます

 人の命は、一度だけなのだとの視点からの予防、診断、治療が求められていると言えます。

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール代謝・・スクアレン(スクワレン)は血中コレステロール値を上げる」を取り上げています)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール・・ステロイドホルモン・・植物エストロゲン・・大豆イソフラボンと骨」について取り上げています)

 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・わが国の喫茶文化、茶の湯文化の始まり、歴史について取り上げています)

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その他の「低コレ&ローコレ日記」シリーズ
コレステロールと動脈硬化 コレステロールは脳力を磨く コレステロールは必要

動脈硬化性疾患の予防と治療・・60 <2007.9.10>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬と心血管死亡・・心血管死亡低下と治療基準・10・まとめ・・・わが国の臨床試験成績

 日本動脈硬化学会による『動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版』(協和企画)のpp.40~43に取り上げて紹介されていますスタチン系コレステロール低下薬を中心とした「国内外の代表的な大規模臨床試験」(表10〜13)について、血中総コレステロール値(TCH,mg/dl), LDLーコレステロール値(LDL−C,mg/dl)に注目して、治療に伴なっての「心血管死亡率の低下の有無」を中心に検討してきました

 問題なのはわが国の試験では、スタチン系コレステロール低下薬による心血管死亡率の低下が得られていないことにあります

 このシリーズの「44」から連続して、前述の表10〜13の臨床試験成績からの、日本動脈硬化学会基準となる「リスク別脂質管理目標値」大櫛グループによる基準となる「コレステロール治療ガイドライン 2006.03」からのTCH,及び、LDL−Cを中心に解析を行ってきました

 ・ 「表11・わが国における代表的な大規模臨床試験」では、5件の臨床試験が取り上げられています

 その内で、心血管死亡率の低下を認めた試験は、試験名・JELISだけでした

 他の3試験との相違は、スタチン系薬剤プラスエイコサペンタエン酸(EPA)が併用投与されていることです

 しかし、治療前のTCH=275,LDL−C=182から、治療によって、それぞれ、223,137への低下でした

 日本動脈硬化学会基準で、「リスク別脂質管理目標値」から検討しますと対象患者の平均年齢が、61歳ですから、最低、II;リスクとなります。

 心筋梗塞既往者%=20、糖尿病%=16。

 その他の高血圧、喫煙、HDH−Cなどの危険因子については不明となります。

 「リスク管理目標値」は、LDL−C<140から、<100の広がりがあることが判ります

 参考としてTCHについては、TCH<220から、<180の広がりとなります

 LDL−C=137は、II;中リスクのカテゴリーを満たす結果となっています

 一方、大櫛グループ基準から検討しますと、平均年齢=61歳、最大、女性=68%の患者(心筋梗塞は女性に少ない)では、LDL−C=182,TCH=275は心筋梗塞既往者以外は治療対象とはなりません

 男性では、心筋梗塞既往者(最大20%)と糖尿病(最大16%)以外の男性は、治療対象者とはなりません

 つまり、JELIS試験では、多数の患者がスタチン系薬剤投与を必要としない患者の可能性が高いと言うことです

 EPAだけで、心血管死亡率の低下が得られた可能性は高いと考えられるのです

 他の2件の大規模臨床試験では、スタチン系薬剤治療で、心血管死亡率の低下は得られていません(PATE試験の結果は不明とありますが、大規模試験とは言い難い)。

 既に、このシリーズ「50」で取り上げていますように、残りの心筋梗塞既往者が含まれていないような試験名・KLIS,PATE(心筋梗塞既往者3%),MEGAを、大櫛グループ基準から解析しますと、大部分の患者が、スタチン系薬剤治療の必要が無いと判定できます

 つまり、治療開始前のLDL−C,TCHは、低下させる必要のないレベルの患者が多数を占めるから、スタチン系薬剤治療による「心血管死亡率」の低下は得られなかったのは当然とも解釈できるのです

 大櫛グループ基準による大規模臨床試験が行われることが期待されます

 スタチン系薬剤治療が、心血管死亡率低下が得られるような「予防、診断、治療基準」する必要があると思いませんか

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール・・スクアレン(スクワレン)は血中コレステロール値を上げる・・3」を取り上げています)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール・・ステロイドホルモン・・植物エストロゲン・・大豆イソフラボン・・骨・筋肉への効果は」を取り上げています)

 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・26・・わが国の喫茶文化の始まり』を取り上げています) 

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動脈硬化性疾患の予防と治療・・59 <2007.9.7>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬と心血管死亡・・『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』・・心血管死亡低下と治療基準・9

 前回からの続きです。

 『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』の内から、心血管死亡率の低下が得られなかった試験の四件についての日本動脈硬化学会基準から見た、治療開始前の血中総コレステロール値(TCH,mg/dl), LDL−コレステロール値(LDL−C,mg/dl)についての検討です。

 大櫛グループ基準からの検討については、このシリーズ「56」で行いました。

 まず、再度、試験名とその患者背景、そのデータを示しておきます。

 日本動脈硬化学会基準は、既に、このシリーズ「57」で示したとうりです。

 ・ 心血管死亡率低下が得られなかった試験名と対象となった患者データは以下の如くです

試験名      平均年齢  女性% 心筋梗塞既往% 糖尿病%

ALLHAT−LLT  66     49     0         35

ASCOT−LLA  63     19      0         25

PROSPER    75     52     13        11

CARE       59     14     100       14  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・ 治療前後のTCH,及び、LDL−C と心血管死亡抑制%

試験名        TCH          LDL−C       心血管死亡率%

            治療前  治療後  治療前  治療後    

ALLHAT−LLT  224   184    146    105     NS  

ASCOT−LLA   213   163    131    90     NS

PROSPER     220    NA    147    98     NS

CARE        209   167    139    97     NS                                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(NS; Not Significant, NA; Not Available)

 ・ 対象患者の主要冠危険因子の検討

  4試験とも、平均年齢が、危険因子となる、男性≧45歳、女性≧55歳ですから、主要冠危険因子=1と査定されます。

 つまり、4試験とも、まず、リスクカテゴリーが、II;中リスク以上となります

 ・ 試験名・ALLHAT−LLT,ASCOT−LLAでの管理目標値の検討

  糖尿病%は、それぞれで、35%、25%とありますので、危険因子数は、その対象者には、1加わることになりますが、リスクカテゴリーは、2となっても変わらないことになります

 しかし、他の主要冠危険因子、高血圧、喫煙、低HDL−Cの有無については、不明な状況にあります。

 また、心筋梗塞の既往%は、0ですから、LDL−C>100、TCH>180となります。

 つまり、ALLHAT−LLT,ASCOT−LLA試験では、リスクカテゴリーは、II;中リスク群とIII;高リスク群の混合からなる患者対象からなるのです

 LDL−Cは、<140、又は、<120で、>100となります。

 TCHは、<220、又は、<200で、>180となります。

 ALLHAT−LLA試験では、治療開始前のLDL−C=146、TCH=224ですから、治療の必要な患者グループからなると判ります

 治療後のLDL−C=105,TCH=184ですから、治療レベルは、III;高リスクの患者に適する条件となっています。

 II;中リスクの患者にとっては、十分過ぎるまでの治療が行われたともいえます

 ASCOT−LLA試験では、治療開始前のLDL−C=131、TCH=213とありますから、II;中リスクの患者では、治療の必要が無いと判定されます。

 しかし、III;高リスクの患者は、治療が必要なレベルにあると判ります

 治療後のLDL−C=90、TCH=163とありますから、治療レベルは、III;高リスク患者グループレベルのみならず、心筋梗塞の既往のリスク患者も満足する治療が行われたことになります。

 つまり、ASCOT−LLA試験では、解釈によっては、必ずしも治療の必要のない患者が含まれ、治療レベルも、過剰に十分過ぎる治療がおこなわれたことになります

 大櫛グループ基準では、心筋梗塞既往者のあっても、LDL−C>100、TCH>180とありますから、動脈硬化学会基準と、モットも異なり基準となる判断基準となっているところです

 ・ PROSPER試験での管理目標値の検討

  13%の心筋梗塞既往者は、LDL−C<100、TCH<180となります

  糖尿病%は、11で、上述しましたように、残りの主要冠危険因子数は、不明です。

  治療前のLDL−C=147、TCH=220ですから、II;中リスク以上の危険因子グループは、治療対象となります。

 治療後のLDL−C=98、TCHは不明です。

 つまり、13%の心筋梗塞既往者以外の患者には、過剰な治療が行われたとも言えることになります

 ・ CARE試験での脂質管理目標値の検討

   心筋梗塞の既往者=100%の対象患者からなりますから、脂質管理目標値は、LDL−C<100、TCH<180となります。

  治療前のLDL−C=139、TCH=209ですから、治療の必要のある患者ばかりとなります

  治療後のLDL−C=97、TCH=167ですから、日本動脈硬化学会基準に適合する治療が行われたのです。

 しかし、大櫛グループ基準では、LDL−C<100、TCH<180には下げないとありますから、過剰な治療が行われたことになります

 日本動脈硬化学会基準に沿った治療が強力すぎるから、心血管死亡率の減少が得られなかったとも解釈可能と言えます

 試験名・ALLHAT−LLT,ASCOT−LLA,PROSPER,CAREの4試験のいずれにあっても、ほぼ、日本動脈硬化学会の基準には基づく脂質管理目標値には沿った治療が行われたと言えますが、心血管死亡率の低下にはつながらなかったとなります

 心血管死亡率低下が得られるような「患者カテゴリー」と「脂質管理目標値」の再検討と改正が必要と判ります

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール・・スクアレンは血中コレステロールを上げる」を取り上げています)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール・・ステロイドホルモン・・植物イソフラボン・・大豆イソフラボン・ガン」を取り上げています)

 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・25』です)

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動脈硬化性疾患の予防と治療・・58 <2007.9.6>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬と心血管死亡・・『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』・・心血管死亡低下と治療基準・8

 前回にまとめて書きました『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』にある臨床試験の内から、心血管死亡率低下が得られた5件の試験について、日本動脈硬化学会基準からの検討の続きです。

 まず、対象患者の主要冠危険因子数からの「リスク別脂質管理目標値」の検討です。

 ・ 加齢による危険因子は、男性≧45歳、女性≧55歳

 前回の表にしてありますように、試験名・WOSCOPS,AFCAPS/TexCA, 4S, LIPIDのいずれの試験にあっても、女性の危険因子年齢55歳以上です。

 HPS試験だけは、平均年齢は不明ですが、年齢域が40〜80歳とありますから、55歳以上の危険領域にあると想定します。

  つまり、5件の試験は、いずれも、危険因子数=1となります。

 ・ 試験名・WOSCOPS,AFCAPS/TexCAでの脂質管理目標値の検討

  いずれに試験とも、心筋梗塞の既往%=0

   糖尿病%は、それぞれの試験で、1,2%とありますから、ほぼ、危険因子数=0と言えます。

   その他の危険因子としての高血圧、喫煙の有無、脂質については、示されていませんから、不明確な危険因子数となります

   一応、0と想定しますと、2件の試験では、最低、加齢のよる冠危険因子数=1となります。

 糖尿病、不明な危険因子の内から、2以上の危険因子がある人では、III;高リスクに属することになります

 つまり、大部分の対象患者は、WOSCOPS,AFCAPS/TexCA試験では、脂質管理目標値は、II;低リスクのカテゴリーにあると想定されます

 それ故に、脂質管理目標値は、LDL−コレステロール値(LDL−C,mg/dl)<140、血中総コレステロール値(TCH,mg/dl)<140との査定となります

 そうなりますと、以下の如くの解析となります。

 WOSCOPS試験では、治療前のLDL−C=192、TCH=272とありますから、スタチン系薬剤の治療対象となります。

 治療後のLDL−C,TCHは、II;中リスクの基準を満足していることになりますが、III;高リスクの基準(LDL−C<200、TCH<120)には満たない治療レベルにあると判ります。

 以上より、WOSCOPS試験では、治療開始前、及び、治療後のLDL−C,TCHは、適正値にコントロールされたと同時に、心血管死亡率の低下が得られた試験といえると思います。

 AFCAPS/TexCA試験では、治療前のLDL−C=150、TCH=221とありますから、II;リスク以上で、治療対象となります。

 治療後のLDL−C=115、TCH=184ですから、例え、高リスク対象患者の混入があったとしても満足する治療が行われていたことになります(LDL−C<120、TCH<200)。

  ・ HPS試験での脂質管理目標値の検討

    心筋梗塞既往者%=41ですから、およそ半数の対象患者は、脂質管理目標値が、LDL−C<100、TCH<180となります。

   糖尿病%=29は、危険因子数=1が加わることになりますが、上述しましたように、残りの危険因子数は不明です

   HPS試験では、III;高リスクに該当する人は、上述の2試験よりは、多いと推定されますが、不明朗となります

   HPS試験での治療前のLDL−C=130、TCH=226ですから、II;中リスク以上の人は治療対象となります。

  治療後のLDL=89,TCH=不明です。

  つまり、例え、治療対象者全員が、心疾患の既往者としても満足すべきレベルの治療が行われたと言えます。

 ・ 4S,LIPID試験での脂質管理目標値の検討

  4S試験では、心筋梗塞の既往者%=79、LIPIC試験では、64%と多数が、LDL−C<100、TCH<180となります。

  糖尿病%は、それぞれ、5%、6%ですから、その他の明確でない危険因子%を考慮、推定しますと心筋梗塞既往者以外の人では、II;中リスクからIII;高リスクに相当すると考えられます

  それ故に、最大の危険グループ群だとすれば、脂質管理目標値は、LDL−C<100、TCH<180と言えます。

  心筋梗塞の既往者が79%を占める4Sでは,治療前のLDL−C=261、TCH=188ですから、I;低リスクの人も含めて、治療対象となります

  治療後のLDL−C=123、TCH=196とありますから、79%以上の人が、4S試験では、治療レベルとしては、不充分レベルになることを示したいます

  LIPID試験では、心筋梗塞既往者の64%が、LDL−C<100、TCH<180の脂質管理目標値となります。

  残りの人では、ほぼ、4S試験と同様の条件と考えられます。

  LIPID試験では、治療前の値は、LDL−C=150、TCH=218とあり、III;高リスク以上の人は治療対象となります。

  治療後の値は、LDL−C=112、TCH=179とありますから、心筋梗塞既往者には不充分な治療レベルにあることを示しています。

以上の検討から、次のようにまとめられると言えます。

 試験名・WOSCOPS,AFCAPS/TexCAでは、いずれの試験にあっても、治療前の値、及び、治療後の値も、脂質管理目標値に適合した試験と判ります

試験名・4S,LIPIDでは、心筋梗塞既往者が多数を占めていますが、脂質管理目標値基準と言える、LDL−C<100、TCH<180の条件を満足していません

 それにもかかわらず、冠危険因子レベルで葉、低いレベルにある試験名・WOSCOPS,LIPIDより、心血管死亡率の改善は、良いと判ります

 一方、試験名・HPSでは、心筋梗塞者数、脂質管理目標リスクレベルは、4S,LIPID試験より低いにもかかわらず、LDLーC=89とストロングな、心筋梗塞既往者=100%レベルの治療(LDL−C<100)が成されているにもかかわらず、心血管死亡率の低下は低いレベルにあります。

 まとめとしては、心筋梗塞既往者にあっても、LDL−C<100、TCH<180で、心血管死亡率の低下が得られることが判ります。

 大櫛グループ基準の心筋梗塞既往者にあっても、LDL−C<100、TCH<180とするレベルの治療条件に適合していることになります

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール・・スクアレンによる血中コレステロールの上昇」を取り上げています)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール・・ステロイドホルモン・・植物エストロゲン・・大豆イソフラボン・ガン、炎症、免疫との関係』を取り上げています。

 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の『こころ』・・25』です。 

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動脈硬化性疾患の予防と治療・・57 <2007.9.5>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬と心血管死亡・・『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』・・心血管死亡低下と治療基準・7

 前回からの続きです。

 今回からは、このシリーズ「55」で、大櫛グループ基準で検討しました『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』の内で、心血管死亡率の低下が得られた5件の試験での治療開始前の血中総コレステロール値(TCH,mg/dl),  LDL−コレステロール値(LDL−C,mg/dl)についての日本動脈硬化学会基準からの検討です。

 既に、紹介しました、日本動脈硬化学会基準を、再度、以下に示します(2007年版)。

 日本動脈硬化学会基準

 日本動脈硬化学会による『動脈硬化性疾患予防ガイドライ 2007年版』(協和企画)に示されています、「リスク別脂質管理目標値」と「カテゴリーと管理目標値からみた治療方針」からの提示となります。

 「リスク別脂質管理目標値」は、以下の如くに示されています。

 ・ リスク別脂質管理目標値

 カテゴリー                  脂質管理目

         主要冠危険因子数#    LDL−C#  HDL−C#  TG#

 I;低リスク群     0             <160    ≧40     <150

 II;中リスク群    1〜2           <140    ≧40     <150

 III;高リスク群     3以上          <120    ≧40     <150                           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     

    冠動脈疾患の既往あり          <100    ≧40     <150                                    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     

 # LDL−C以外の主要冠危険因子の数、 LDL−C(LDL−コレステロール値、mg/dl)、 HDL−C(HDL−コレステロール値、mg/dl)、 TG(中性脂肪、mg/dl)

 # LDL−Cの主要冠危険因子は、以下の如くです

   ・加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)

   ・喫煙、冠動脈疾患の家族歴

   ・低HDL−コレステロール血症(<40mg/dl)

 

日本動脈硬化学会・2007年版基準では、病名が「脂質異常症」と改められ、TCHは診断基準からは削除されました。

 しかし、TCHは、「動脈硬化性疾患診療ガイド 2002年版」において、既に、参考値とされているのですが、今回も、実際的には、「患者カテゴリー別管理目標値」にある値を想定しているといえます(「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」(協和企画)

 ここでも、参考値として、2002年版でのTCHを、『リスク別管理目標値』に当てはめて見ますと次のようになります

 カテゴリー                脂質管理目標値

         主要冠危険因子数    TCH   LDL−C

I;低リスク       0          <240  <160

II;中リスク      1〜2        <220  <140

III;高リスク      3以上      <200  <120          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 冠動脈疾患の既往あり         <180  <100     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 ・ 心血管死亡率低下がえられた試験名と対象となった患者データは以下の如くです

試験名      平均年齢  女性%  心筋梗塞の既往%  糖尿病%

WOSCOPS      55      0                   

AFCAPS/TexCA  58     15                   

HPS        40〜80   25      41            29

4S           59     19     79             

LIPID         62     17      64                                                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・ 治療前後のTCH、及び、LDL−C と心血管死亡率抑制%

試験名        TCH           LDL-C       心血管死亡率% 

           治療前  治療後   治療前  治療後 

WOSCOPS     272   218    192   142      −32

AFCAPS/TexCA  221   184    150   115     −32

HPS         226    NA    130    89      −17

4S          261   196    188   123      −42

LIPID        218   179    150   112       −34                                            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・( AFCAPS/TexCA ; AFCAPS/TexCAPS, NA;Not Available)

 次に、日本動脈硬化学会基準によるよる治療開始前のLDL−C,TCHの解析となります。

 長くなりましたので、今回の資料を基に、次回に続けます。

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール・・スクアレン(スクワレン)による血中コレステロール値上昇・・6」です)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とステロイド代謝・・植物エストロゲン・・大豆イソフラボン・15』です)

 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・24』です)

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動脈硬化性疾患の予防と治療・・56 <2007.9.4>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬と心血管死亡・・『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』・・心血管死亡低下と治療基準・6

 前回からの続きです。

 今回は、前回取り上げました『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』の内、既に、このシリーズの「53」で取り上げました、心血管死亡率の低下が得られなかった試験にあって、治療開始前の血中総コレステロール値(TCH、mg/dl)、LDL−コレステロール値(LDL−C、mg/dl)が、それぞれ、大櫛グループ基準、日本動脈硬化学会基準とのいずれに適合しているかの比較検討です。

 つまり、心血管死亡率の低下が得られなかった試験で、治療開始前のTCH,LDLーCにあっての、治療基準からみた適否の判定です。

 今回は、大櫛グループ基準からの検討です。

 ・ 心血管死亡率低下が得られなかった試験名と対象となった患者データは以下の如くです

試験名      平均年齢  女性% 心筋梗塞既往% 糖尿病%

ALLHAT−LLT  66     49     0         35

ASCOT−LLA  63     19      0         25

PROSPER    75     52     13        11

CARE       59     14     100       14  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・ 治療前後のTCH,及び、LDL−C と心血管死亡抑制%

試験名        TCH          LDL−C       心血管死亡率%

            治療前  治療後  治療前  治療後    

ALLHAT−LLT  224   184    146    105     NS  

ASCOT−LLA   213   163    131    90     NS

PROSPER     220    NA    147    98     NS

CARE        209   167    139    97     NS                                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(NS; Not Significant, NA; Not Available)

 大櫛グループ基準と日本動脈硬化学会基準は、このシリーズの「54」に示してありますから参照してください。

 ・ 大櫛グループ基準からの治療開始前の検討

 1) ALLHAT−LLT,ASCOT−LLA試験での条件

   ALLHAT−LLT、ASCOT−LLAでは、それぞれの対象患者の平均年齢が、66歳(女性35%)、63歳(女性25%)。

 いずれの試験も、心筋梗塞既往%は、0です。

 糖尿病%は、それぞれ、35%、25%です。

 以上の条件にあって、大櫛グループ基準から見て、一番厳しい条件は、男性の喫煙者に当たります。

 その厳しい条件では、LDL−Cは、100〜160、 TCHは、100〜235となります。

 しかし、ALLHAT−LLTでは; LDL−C=146、TCH=224ですから、全ての対象患者が男性喫煙者であったとしても、治療対象患者とはならないことになります

 ASCOT−LLTでは; LDL−C=131、TCH=213ですから、ALLHAT−LLT同様、全ての患者は、治療対象患者とはなりません

 以上より、大櫛グループ基準では、両試験共に、治療の必要の無い患者をスタチン治療を行ったことになります

 それ故に、スタチン治療によって、心血管死亡率低下結果がNSでも当然と言えます。

 2) PROSPER試験での条件

   心筋梗塞既往者が13%含まれています。

   大櫛グループ基準では、その13%の心筋梗塞既往者は、LDL−C>100、TCH>180で、出来るだけ低く下げるとなります

  残りの患者では、厳しく判定しても、1)と同様の条件(LDL−C=100〜160,TCH=180〜235)となります。

  PROSPER試験では、治療開始前のLDL−C=147,TCH=220ですから、13%を占める心筋梗塞既往者以外は、治療対象外となります。

  つまり、心血管死亡率低下は、最大、13%となりますが、結果はNSと有意差無しの判定成績となりました。

 PROSPER試験では、およそ90%の患者が治療対象外ですから、結果がNSでも、あまり問題とはいえないと思います

 3) CARE試験での条件

   心筋梗塞既往者が100%を占めていますから、治療条件は、上述の如く、LDL−C>100、TCH>180の条件で、出来るだけ下げるとなります

  治療開始前のLDL−C=139、TCH=209ですから、治療対象患者となります

  治療基準値より、著しく高いとはいえませんが、心疾患死亡率低下は得られていません。

 しかし、スタチン治療後の値がLDL−C=97、TCH=167となっていますから、大櫛グループ基準から言えば、オーバーな治療となったためだとも考えられます

 以上より、大櫛グループ基準から見ると、CARE試験以外は、治療基準に反する患者を治療したとなります

 また、CARE試験では、LDL−C>100、TCH>180での治療条件の試験結果が必要となります。

 今回取り上げました試験では、いずれの試験も、大櫛グループ基準には適合した治療が行われていないことが問題との判定となります

 次回から、日本動脈硬化学会基準からの検討とします。

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とステロイド代謝・・ステロイドホルモン・・植物エストロゲン・・大豆イソフラボン・14」です)

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール・・スクアレン(スクワレン)による血中コレステロール値の上昇」です)

 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・23』です)

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動脈硬化性疾患の予防と治療・・55 <2007.9.3>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬と心血管死亡・・『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』・・心血管死亡低下と治療基準・5

 前回からの続きです。

 今回は、既に、このシリーズの「52」で取り上げました、日本動脈硬化学会による「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」(協和企画)に紹介の『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』の内から、心血管死亡率の低下が得られた臨床試験での検討です。

 スタチン系コレステロール低下薬による治療開始前の血中総コレステロール値(TCH,mg/dl)、及び、LDL−コレステロール値(LDL−C,mg/dl)に注目して、前回にまとめて表示しました大櫛グループ基準と日本動脈硬化学会基準とのいずれに適合しているかの比較検討です。

 ・ 心血管死亡率低下がえられた試験名と対象となった患者データは以下の如くです

試験名      平均年齢  女性%  心筋梗塞の既往%  糖尿病%

WOSCOPS      55      0                   

AFCAPS/TexCA  58     15                   

HPS        40〜80   25      41            29

4S           59     19     79             

LIPID         62     17      64                                                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・ 治療前後のTCH、及び、LDL−C と心血管死亡率抑制%

試験名        TCH           LDL-C       心血管死亡率% 

           治療前  治療後   治療前  治療後 

WOSCOPS     272   218    192   142      −32

AFCAPS/TexCA  221   184    150   115     −32

HPS         226    NA    130    89      −17

4S          261   196    188   123      −42

LIPID        218   179    150   112       −34                                            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・( AFCAPS/TexCA ; AFCAPS/TexCAPS, NA;Not Available)

 ・ 大櫛グループ基準からの治療開始前の検討

  1) 試験名・WOSCOPS, AFCAPS/TexCAでは、平均年齢は、50歳以上、心筋梗塞既往者=0、糖尿病=1〜2%。

  WOSCOPSでは、女性=0、AFCAPS/TexCAでは15%となっています。

 ほぼ、低リスク対象患者で、50歳以上の男性中心の試験と言えます。

 大櫛グループ基準で言えば、TCH>260、LDL−C>180が、治療対象の患者となります。

 それ故に、WOSCOPSでは、治療開始前値がそれぞれ、TCH=272,LDL−C=192ですから、治療が必要な基準となっています。

 AFCAPS/TexCAでは、TCH=221、LDL−C=150ですから、治療対象とはならない患者群となると判ります

  2) 試験名・HPSでは、年齢が40〜80と表示されていますが。平均年齢は、50歳以上の推定とします。

   心筋梗塞既往者=41%ですから、半数近くがTCH>180、LDL=C>100の条件で、出来るだけ下げるとの条件となります

  治療開始前の値は、それぞれ、TCH=226、LDL−C=130ですから、残る糖尿病者、低リスク群の患者では、治療対象外となります

  つまり、ほぼ半数が治療対象者との試験と言えます。

  3) 試験名・ 4S,LIPIDでは、心筋梗塞既往者が、それぞれ、79%、64%と多数を占めています

   糖尿病者は、5〜9%と少数含まれています。

   4S試験での、治療開始前のTCH=261、LDL−C=188ですから、糖尿病の男性が治療対象とはなりますが、極少数と言えます

   LIPID試験では、治療開始前のTCH=218、LDL−C=150とありますから、糖尿病者、低リスク群の患者も治療対象から外れることになります

   心筋梗塞既往者%で比較すると、4S試験で、LIPID試験より、治療対象者が多いとなります

 以上より、大櫛グループ基準から、それぞれの臨床試験での治療開始前のTCH,LDL−Cからの治療の必要性判定は、およそ、以下の如くとなります

 試験名         判定

 WOSCOPS     治療対象の患者

 AFCAPS/TexCA 治療対象外の患者

 4S           41%の心筋梗塞既往者のみが治療対象者

 4S           79%の心筋梗塞既往者が治療対象者+男性の糖尿病者(最大5%まで)

 LIPID         64%の心筋梗塞既往者のみが治療対者        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 以上、試験名・AFCAPS/TaxCA、HPS以外では、ほぼ、治療開始前のTCH,LDL−Cは、大櫛グループ基準にに適合との判定となります

 次回には、心血管死亡率低下が得られなかった試験での大櫛グループ基準からの検討とします。

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール・・9・・スクアレンによる血中コレステロールの増す理由・5」です)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール代謝・・ステロイドホルモン・・植物エストロゲン・・大豆イソフラボン・13」です)

 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・23』です)

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動脈硬化性疾患の予防と治療・・54 <2007.8.30>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬と心血管死亡・・『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』・・心血管死亡率低下と治療基準・4

 前回からの続きです。

 三回にわたって、海外の大規模臨床試験でのスタチン系薬剤による心血管死亡率低下の有無と血中コレステロール値(TCH,mg/dl)、LDL−コレステロール値(LDL−C,mg/dl)との関係に注目してきました。

 日本動脈硬化学会治療基準と大櫛グループ治療基準との大きな違いは、大櫛グループ基準にあっては心筋梗塞既往者を含めた全ての人に、TCH>180、LDL−C>100としていることです。

 一方、日本動脈硬化学会基準では、心筋梗塞既往者は、LDL−C<100となっています。

 その相違に注目して、心血管死亡率低下の有無を検討してきました。

 その結果として、大櫛グループ基準から判断した、TCH,LDL−C基準に有利な臨床成績結果となっているとの判定が有利だといえます

 そこで、次には、治療前のTCH,LDL−Cに注目して、それぞれの基準値から判断した時、スタチン系コレステロール低下薬投与の必要性があったかどうかの検討です。

 つまり、取り上げてきました、『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』から、心血管死亡率の低下の有効性と治療基準から見た治療開始前のTCH,LDL−C基準の適正検討です。

その前に、もう一度、比較し易いように、大櫛グループ基準と日本動脈硬化学会基準とを表示して、その違いをハッキリと認識しておきたいと思います。

 大櫛グループ基準

 大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」(太田出版)のpp.176~178に『付録3』として取り上げられています。

 その概略は以下の如くです。

共同著者: 大櫛陽一、 奥山治美、 田中裕幸、 山門實

・ 心筋梗塞などの発症低リスク者のコレステロール低下薬の服用を検討すべき値

              総コレステロール値(mg/dl)

 年齢         男性       女性

 20〜24      220以上     220以上

 25〜29      230以上     230以上

 30〜34      240以上     240以上

 35〜39      250以上     250以上

 40〜44      260以上     260以上

 45〜49      260以上     270以上

 50歳以上     260以上     280以上           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  注;「男女とも、血中総コレステロール値は、180mg/dl以下にしないこと」

            LDL−コレステロール値(mg/dl

 年齢         男性        女性

 20〜24      140以上     140以上

 25〜29      150以上     149以上

 30〜34      160以上     157以上

 35〜39      170以上     166以上

 40〜44      180以上     174以上

 45〜49      180以上     183以上

 50歳以上     180以上     190以上           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  注;「男女共に、LDL−コレステロール値は、100mg/dl以下にしないこと」

・ 糖尿病患者での適正コレステロール値

            総コレステロール値(mg/dl)

            男性        女性

非喫煙者    180〜260     180〜280

喫煙者      180〜235    180〜280

            LDL−コレステロール値(mg/dl)

非喫煙者     100〜180    100〜190

喫煙者      100〜160    100〜190           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 コレステロール値、LDL−コレステロール値のいづれにあっても、それぞれ、180以下、100以下とはしない条件にあります。

・ 虚血性心疾患既往症と家族性高コレステロール血症のある人の基準範囲

 「出来るだけ、総コレステロール値とLDL−コレステロール値を下げることが望ましい」とありますが、「但し、総コレステロール値を180mg/dl以下、LDL−コレステロール値を100mg/dlいかにしてはいけません」とあります。

 以上より、大櫛グループによる『コレステロール治療ガイドライン』では、性別、年齢階層別とリスク別に、その治療基準値を設定していることが判ります

 またリスクのない人、リスクのある心血管障害の既往があっても、血中総コレステロール値を180mg/dl以下に、及び、LDL−コレステロール値を100mg/dl以下にすることのないように、その治療基準が定められていることです

 日本動脈硬化学会基準

 日本動脈硬化学会による『動脈硬化性疾患予防ガイドライ 2007年版』(協和企画)に示されています、「リスク別脂質管理目標値」と「カテゴリーと管理目標値からみた治療方針」からの提示となります。

 「リスク別脂質管理目標値」は、以下の如くに示されています。

 ・ リスク別脂質管理目標値

 カテゴリー                  脂質管理目

         主要危険因子の数#    LDL−C#  HDL−C#  TG#

 I;低リスク群     0             <160    ≧40     <150

 II;中リスク群    1〜2           <140    ≧40     <150

 III;高リスク群     3以上          <120    ≧40     <150                           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     

    冠動脈疾患の既往あり          <100    ≧40     <150                                    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     

 # LDL−C以外の主要冠危険因子の数、 LDL−C(LDL−コレステロール値、mg/dl)、 HDL−C(HDL−コレステロール値、mg/dl)、 TG(中性脂肪、mg/dl)

 # LDL−Cの主要冠危険因子は、以下の如くです

   ・加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)

   ・喫煙、冠動脈疾患の家族歴

   ・低HDL−コレステロール血症(<40mg/dl)

 以上、大櫛グループ基準との相違は、以下の如くです。

 ・ 冠動脈疾患の既往がある人でのLDL−Cが、100以下にコントロールする基準にあること。

 ・ LDL−Cは、男女別、年齢別による基準値に差がある。

 ・ 大櫛グループ基準は、低リスク、糖尿病患者と喫煙の有無、冠動脈疾患の既往者による基準値。

 ・ 一番の相違は、大櫛グループ基準では、リスクとは関係なく、LDL−Cは100以下にしない、血中総コレステロール値は、180mg/dl以下にはしないとあること。

 以上、今回の「リスク別脂質管理目標」にあっては、『冠動脈疾患既往のある人では、LDL−Cが、<100以下とあることです。

 次回には、まず、心血管死亡率低下が得られた大規模臨床試験成績での検討です。

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール・・8・・スクアレンによる血中コレステロールの回復・4」です)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール代謝・・ステロイドホルモン・・植物エストロゲン・・大豆イソフラボン・12」です)

 (はてな日記では、『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」』です)

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動脈硬化性疾患の予防と治療・・53 <2007.8.29>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬と心血管死亡・・『海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』・・心血管死亡低下と治療基準・3

 前回からの続きです。

 前回では、心筋梗塞既往者が多数を占める大規模臨床試験で、スタチン系薬剤治療が、心血管死亡率を低下する結果が得られた試験にあっては大櫛グループ基準に適う、LDL−C>100、TCH>180とするが良いとの結果でした(LDL−C;LDL−コレステロール値、mg/dl, TCH;血中総コレステロール値、mg/dl)。

 今回は、逆に、スタチン系コレステロール低下薬投与によって、心血管死亡率の低下が得られなかった4件の試験成績の検討です。

 今回の注目は、スタチン系薬剤投与によって、LDL−Cでは、100、TCHでは、180と、それぞれの値のどちらにコントロールした試験が多いかです。

 つまり、LDL−C>100、TCH>180で治療した試験が多ければ、大櫛グループ基準は、適切で無いとなります

 逆ならば、日本動脈硬化学会基準に問題があるとなります

 ・ 試験名と対象となった患者背景は以下の如くです

試験名      平均年齢  女性% 心筋梗塞既往% 糖尿病%

ALLHAT−LLT  66     49     0         35

ASCOT−LLA  63     19      0         25

PROSPER    75     52     13        11

CARE       59     14     100       14  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・ 治療前後のTCH,及び、LDL−C と心血管死亡抑制%

試験名        TCH          LDL−C       心血管死亡率%

            治療前  治療後  治療前  治療後    

 

ALLHAT−LLT  224   184    146    105     NS  

ASCOT−LLA   213   163    131    90     NS

PROSPER     220    NA    147    98     NS

CARE        209   167    139    97     NS                                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(NS; Not Significant, NA; Not Available)

 1) ALLHAT−LLTでは、治療後のTCH=184、 LDL−C=106でコントロールされています

  心筋梗塞既往者=0ですから、大櫛グループ、及び、日本動脈硬化学会の基準を、それぞれ、満足するものにはなっています。 

  しかし、心筋梗塞者=0での大櫛グループ基準から判断すると、明らかに、過剰治療となっています。 

 2) ASCOT−LLAでは、治療後のTCH=163、及び、 LDL−C=90でのコントロールとなっています

  心筋梗塞者=0ですが、治療後のTCH,LDL−Cは、大櫛グループ基準の基準には反した、過剰な治療となります。

  日本動脈硬化学会の基準には、適っていると言えます。

 3) PROSPERでは、治療後のTCHは、NAで不明ですが、LDK−C=98でのコントロールとなっています

   心筋梗塞者=13、LDL−Cでは、日本動脈硬化学会の基準は満足していることになります。

   大櫛グループ基準から判断するには、TCHが不明ですから不明瞭になります。

  LDL−C=98は、、心筋梗塞既往者=13ですから、大櫛グループ基準からの判断からすれば、明らかに、過剰な治療と言えます

 3) CAREでは、治療後のTCH=167,及び、 LDL−C=97のコントロールとなっています

   心筋梗塞既往者=100ですから、日本動脈硬化学会基準には、適う治療となっています。

   しかし、大櫛グループ基準からは、TCHは180以下、LDL−Cは100以下と、過剰治療のレベルとなっています。

   つまり、例え、心筋梗塞既往者であっても、TCH>180、LDL−C>100の基準に反するのです

 以上より、4件の大規模臨床試験では、日本動脈硬化学会による治療基準には、適合した治療にはなっていますが、心血管死亡率の低下には有効性ある結果が得られていません。

 一方の大櫛グループ基準からの検討では、過剰傾向の治療と言えます

 取り分け心筋梗塞既往者が100%を占めるCARE試験にあって、TCH<180、LDL−C<100とする条件は、大櫛グループ基準には適わないが、日本動脈硬化学会基準には適ってはいるが、心血管死亡率低下が得られていません

 前回取り上げましした、心血管死亡率の低下が得られた試験では、逆に、心筋梗塞者が多数を占める試験(4S, LIPID)では、大櫛グループ基準に適っているといえます

また、既に取り上げました、「積極的脂質低下療法を行った代表的な臨床試験」(動脈硬化性疾患の予防と治療・・4748では、心筋梗塞既往者が、多数含まれている試験ですが、LDL−C<100としても、心血管死亡率の低下は、認められていません

 つまり、大櫛グループ基準には、反する治療が行われたからだとも考えられます

 以上を、まとめますと「海外におけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験」では、心血管死亡率を低下させることの出来る治療基準は、大櫛グループに有利な結果となっています。

 わが国より数倍の発症者が多い国においてすら、心筋梗塞既往者でも、TCH<180、LDLーC<100だとなります

 TCH<180、LDL−C<100では、ガン、脳出血、感染症などによる死亡、及び、自殺・事故死が増加するとの事実があります

 つまりは、繰り返しとなりますが、強調したいのは、大櫛グループ基準にある、その他の条件にあっても、TCH<180、LDL−C<100は、極めて、重要な意味を持っていると判ります

 私どもが、「低コレステロールは危険で、改善する必要性あり」とする根拠となっています

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール・・7・・スクアレンによる血中コレステロール値上昇」です)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール代謝・・ステロイドホルモン・・植物エストロゲン・・大豆イソフラボン・11」です)

 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・22』です)

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動脈硬化性疾患の予防と治療・・52 <2007.8.27>

 動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬と心血管死亡・・「海外のおけるスタチンを用いた代表的な大規模臨床試験』・・心血管死亡低下と治療基準・2

 前回からの続きです

 今回は、スタチン系コレステロール低下薬投与によって、心血管死亡率の低下が得られた5件の試験についての検討です。

 注目のポイントは、スタチン系薬剤治療によって、血中総コレステロール値(TCH,mg/dl)は、180以上か以下に、LDL−コレステロール値(LDL−C,mg/dl)は、100以上か以下か、それぞれの試験で、どちらにコントロールされたかが問題です。

 ・ 試験名と対象となった患者背景は以下の如くです。

試験名      平均年齢  女性%  心筋梗塞の既往%  糖尿病%

WOSCOPS      55      0       0            1

AFCAPS/TexCA  58     15       0            2

HPS        40〜80   25      41            29

4S           59     19     79             5

LIPID         62     17      64             9                                         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・ 治療前後のTCH、及び、LDL−C と心血管死亡率抑制%

試験名        TCH           LDL-C       心血管死亡率% 

           治療前  治療後   治療前  治療後 

WOSCOPS     272   218    192   142      −32

AFCAPS/TexCA  221   184    150   115     −32

HPS         226    NA    130    89      −17

4S          261   196    188   123      −42

LIPID        218   179    150   112       −34                                            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・( AFCAPS/TexCA ; AFCAPS/TexCAPS, NA;Not Available) 

 1) HPSでは、TCHの治療後のTCHの値が不明ですが、LDL−Cは、89を示しながら、心血管死亡率は、17%の減少を認めています

 2) LIPIDでは、TCHの治療後の値が、179僅かに、180より低い値となっていますが、LDL−Cは、112を示し、100以上の値となっていることから、大櫛グループ基準に沿っているといえます。

  心血管死亡率の低下は、34%となっています。

 3) WOSCOPS, AFCAPS/TexCA, 4Sは、大櫛グループ基準に適っています

   それぞれの心血管死亡率低下は、32%、32%、42%となっています。

 ・ 心筋梗塞の既往者は、4Sでは、79%、 LIPIDでは、64%を占めています

   心筋梗塞既往者は、日本動脈硬化学会の基準では、LDL−Cは、100以下に設定されています。 また、参考値としては、TCHは、180以下に想定されています。

  大櫛グループ基準では、LDL−Cha,100以下にはしないこと、TCHは、180にはしないこととなっています。

 ・ 心筋梗塞既往者は、参加していないWOSCOPS と AFCAPS/TexCAでは、大櫛グループの基準には、適っています。

  日本動脈硬化学会の基準に適っているかどうかは、LDL−Cと糖尿病以外は、主要冠危険因子が不明ですから、確定は困難です。

 しかし、WOSCOPSでは、II;中リスクの<140、AFCAPS/TexCAでは、III;高リスクの<120の条件を適えているといえます

 以上より、心筋梗塞既往者が多数を占める、4S,及び、LIPIDでは、心血管死亡率の低下が得られ、TCH>180,LDL−C>100であることは、大櫛グループ基準が有利の判定となります。

 例え、心筋梗塞などの冠動脈疾患があっても、血中コレステロール値は、180以下にせず、LDL−コレステロール値は、100以下とはせず、との基準は、適切だと強く示す大規模臨床試験結果となっています。

 次回は、心血管死亡率の低下が得られなかった、4件の試験結果についてとします。

 今度は、逆に、血中コレステロール値<180、LDL−コレステロール<100の条件で、治療された場合が多い方が不利な治療基準となります

 (Googleでは「スクアレン(スクワレン)とコレステロール・・6・・スクアレンによる血中コレステロール値の上昇理由・2」です)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール代謝・・ステロイドホルモン・・植物性エストロゲン・・大豆イソフラボン・10」です)

 (はてな日記では『オヤピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・21』です)

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